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【静岡移住者File】人力車を復活させた島川誠さん|伊豆・松崎町

観光・グルメ

読者:「地方に移住した人って、実際どうやって仕事を作っているんだろう?」

こんにちは、shokoです。

私は神奈川県から静岡に移住し、子育てをしながらフルリモートで働いています。移住してから、この土地で自分の仕事を作っている方に会う機会が増えました。

今回はその中でも、特に忘れられない方を紹介します。東京から伊豆半島の松崎町へ移住し、廃止されていた地元の人力車をひとりで復活させた島川誠(しまかわまこと)さんです。

移住して何をするかを考えている方にも、これから伊豆へ旅行に行く方にも読んでほしい話です。

この取材は2020年2月に行ったものです。

島川さんの人力車は今も「人力車 伊豆松崎組」として現役で走っています。
ただし取材のあと、活動の拠点を松崎町から修善寺(伊豆市)に広げています。
今は修禅寺の門前、赤い橋「虎渓橋」のあたりで待っていることが多いそうです。

記事の本文は2020年当時の松崎町での話です。
今から乗りに行きたい方は、記事の最後に最新情報をまとめたので、そちらを見てください。

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島川誠さん(人力車案内人)

プロフィール

名前:島川誠(しまかわ まこと)
肩書:人力車伊豆松崎組(島ちゃん人力車)代表
出身:東京都中野区

これまでと違う人生を求めて、松崎町へ

島川さんは、2000年に東京の内装会社に入社。自ら現場作業をしながら、職人たちの管理業務も務めていた。入社から18年経過したある日、これまでずっと苦楽を共にしてきた社長が他界する。突然のことだった。

この出来事が自分自身の人生を見つめ直すきっかけとなる。
会社での待遇に大きな不満があるわけではなかった。しかし島川さんはこのままの会社生活を続けることにふと不安を感じた。

「どうせ一度きりの人生なら、これまでとは違う人生を生きてみたい。」

そんな思いで居ても立ってもいられなくなった島川さんは、次の就職先も決めぬまま、2018年4月に会社を辞めた。
会社をやめてすぐ、東京・有楽町にある「ふるさと回帰支援センター」をふと訪れた。そこで静岡県松崎町のパンフレットが目に止まった。松崎町という町の存在を知ったのは、これが初めてのことだった。

都会で育った自分が、自然の中で暮らして農業で食べていくことができるだろうか。やってみたくて、米を作ってる農家さんの作業を手伝いに行ってみることにした。5日間の旅だった。全く部外者の島川さんに、松崎町の人々はまるで家族のように接した。

町の人々のあたたかさに触れ、惹かれ、この地への移住を決めた

移住後しばらくは、米作りの手伝いをして過ごした。

人力車との出会い

ある日、島川さんは松崎町にある呉服商家の中瀬邸で、古びた人力車が展示されているのを見つけた。

約8年前まで町役場のスタッフがボランティアで運行していたが、高齢化や観光客減少により廃止となり、今ではこのように展示されるだけになってしまったとのことだった。

話を聞いた島川さんの頭に、ひとつのひらめきが生まれた

島川さん:「これ、貸してもらえないですか?」

地元の人:「え、あんた、どうするのそれ?もうずっと前から動かしてないよ。」

島川さん:「ぼくが復活させます!」

2018年12月、島川さんはまったく知らぬ地で、1人で事業を始める。

早朝は牛乳配達をして生活費を稼ぎながら、人力車と島川さんの挑戦が始まった。

町民がコンテンツ

島川さんが考えたのは、人力車を、松崎町に来たお客さんと、強烈なキャラクターを持つ町民とをつなぐツールにすることだった。

「松崎町民は、その人自身の魅力がコンテンツになる。人力車は、観光客とそんな町民をつなぐ接点となれるのではないか」

直感でそう思った。

島川さん:「松崎町民は本当に自由で、フランクで、あったかくて。笑」

島川さんの引く人力車は、観光名所によくある、写真スポットを効率的に移動するだけのものではない。

人力車は、細い路地にも臆することなく入っていける。すれちがう人たちと窓を開けなくても言葉を交わせる。それは町の人々の暮らしの中に、等身大で入っていける交通手段だ。
その結果、仕込みだと疑われるほどの高い確率で、いつも何かしら町民との交流が生まれる。

「人力車で町を走っていると、いろいろなことが起きます。町民が集まってきて話しかけてきたり、町民が差し入れをしてくれたり。お客さんも最初はびっくりするけれど、唯一無二の体験ができたと言って喜んでくれます」

人力車は気持ちいい

もちろん、普通に走るだけでも魅力的だ。アジア諸国で現在も「リキシャ(rick-shaw)」と呼ばれる人力車は、日本の風土の中で発達した乗り物である。乗ってみると、これがとても心地よい。「ナショナル・ジオグラフィック」誌の草創期に日本を取材した女性ジャーナリスト、 エライザ・R・シドモアは人力車を愛用し、「乗り心地のよい走るひじ掛け椅子」と絶賛している。

松崎町といえばこの景色!の なまこ壁通り、明治の面影を残す呉服商家の 中瀬邸伊豆文邸、赤い山門が映える 浄泉寺、幕末の漆喰鏝絵(こてえ)の名人の作品を集めた 伊豆の長八美術館…。明治にタイムスリップしたような街道を、人力車はゆったり走る。道の真ん中で「走るひじ掛け椅子」にくつろいでいれば、四季折々の美しい日本の風景を、地元を知り尽くした島川さんの案内で、あますところなく堪能できる。写真だって満足いくまで撮りまくってくれる。

けれども島川さんの人力車の真価は、こうしたコース内容を超えたところにある。
普段は見られないお宝を見せてもらったり、自慢の品を試食させてもらったり、写真撮影会がはじまったり…。お客さんと町民との会話がはずみすぎて、人力車なのに「走れない」こともしばしば。何が起こるかわからないから、本当の魅力はここには書くことができない。ぜひ島川さんの人力車に乗って、松崎町民に会いに行ってみてほしい。

地方移住あるある(どうでもいい話) by島川さん

地元の人:「昨日は21時にはもう寝てたよな。」、ええ、なんで知っているんですか?ってね。笑
大体のことは町民に把握されてます。最初はびっくりしたけどもう普通です。笑

あとは、ちょっと女性と町を歩いただけで、町の人から「あの時歩いてたやつはだれだ?」と速攻で訊かれる。すぐ噂されます。ただ歩いてるだけなのに!!
、困るなあ〜。まぁいいんですけどね。これも小さな町あるあるです。

あとがき

ーで、仕込んでるんですか?
いや仕込んでないって!笑
本当に松崎町民は誰にでもあったかいんです。信じられないのわかりますけどね。笑

ー人力車ってすごく体力が必要だと思うのですが、未経験で大丈夫だったんですか?
そうそう、人力車を引く前にマラソンで鍛えようとおもって、走ってみたらすぐに膝がこわれて1ヶ月人力車を延期しました。人力車を引くようになってからも膝が痛いことがあったので、体を壊さないように、徐々にやっています。

ー今までにあった面白いエピソードを教えてください。
普段は中が見れない普通のお家に、観光客と訪問して町の伝統工芸品を見せてもらったり、ってこれはもはや人力車関係なくなってるけど笑 人力車に乗ってるときに出会って、お客さんと話の盛り上がったおっちゃんが、実はこの町の町長だったなんてこともありましたね。

ー答えられない要望はありますか?
基本なんでも全力で答えるので相談してください!よくいただくのは「グルメ」「買い物」「写真撮影」などですね。他にもユニークなご要望をお待ちしております。

【2026年版】島川さんの人力車に乗るには

この記事を書いてから6年が経ちました。島川さんは今も人力車を引いています。

大きく変わったのは場所です。松崎町から修善寺(伊豆市)へ活動を広げ、現在は修善寺温泉街で走っていることが多くなっています。時期によっては松崎町でも営業しているそうです。

乗り場と料金

屋号:人力車 伊豆松崎組(車夫は島川誠さん・通称「島ちゃん」)
乗り場:修禅寺の門前、赤い橋「虎渓橋(こけいばし)」のあたり
基本コース:20分/1名 2,000円〜
竹林の小径コース:基本コースに+1,000円
定員:大人2人まで
電話:090-7705-0768

料金・営業時間・運休は、天候や時期によって変わります。出かける前に、下記のInstagramか電話で確認してください。雨の日は基本的にお休みです。

人力車 伊豆松崎組 公式Instagram(@matsuzaki_kurumaya)

予約もInstagramのDMから受け付けているそうです。指定した場所まで迎えに来てもらうこともできます。

修善寺は駅から温泉街まで少し距離があるので、人力車で回るのはむしろ理にかなっています。竹林の小径は歩いても気持ちいい場所ですが、島ちゃんの解説付きで通るとまったく違う場所に見えるはずです。

さいごに

島川さんの話で一番印象に残っているのは、「町民がコンテンツ」という言葉でした。

観光地を作るのではなく、もともとそこにいる人たちを面白がる。移住者だからこそ気づけた価値だと思います。

修善寺、あるいは松崎町へ行かれる際は、ぜひ人力車に乗ってみてください。何が起きるかは、乗ってみないとわかりません。

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